勤務医が法人化(会社設立)するメリット・デメリット

数年前に比べ、勤務医がプライベートカンパニー(マイクロ法人)、またの名を資産管理法人(資産管理会社)を設立する人が増えてきています。メリットの大きな制度であることが周知されるようになってきているため、医師でも作る人が増えてきているのです。

 

 

かくいう管理人も、合同会社を一つ作っています。

 

 

では、実際に勤務医にとって、どんなメリットがあるか、解説します。

 

 

資産管理法人(マイクロ法人)のメリット

 

勤務医にとって、マイクロ法人(会社作成)のメリットを列挙します。

 

@税金が減る
A専業主婦の場合、妻に給料を支払える
B共働きの場合、夫婦で小規模企業共済に入る
C子供に資産として残せる
D医師賠償責任保険を経費にする(医師会)
Dパソコンが経費になる
E家賃、車の代金、携帯代金が経費になる
F資産の保全になる(財産税や連帯保証など)
G法人の方が信頼されるビジネスがある
H法人対法人の取引の方がやりやすいので、共同ビジネスが増える

では、一つずつ紹介します。

 

 

法人化すると、税金が減る

法人化すると、支払う税金が減ります。なぜなら、個人の税金よりも、会社の法人税の方が安いからです。

 

法人税は、安い場合15%です。それに住民税が加わりますが、勤務医の給料にかかる税金よりも安いです。

 

そのため、支払う税金は、その差額分だけ減らすことができます。

 

例えば、同じ2500万円をもらえる場合を考えています

 

給料は、1700万円、
医師のバイトで800万円の場合と、法人で800万円の場合を比べましょう。

 

バイトとの合計で、計2500万円
法人利益との合計で、計2500万

 

この時、手取りはどうなるのか。
http://www.humanvalue.jp/tool/tedori/
で計算します。
 
バイトとの合計で計2500万円の場合、手取りは約1400万円と計算されます。
住民税も所得税もがっつり取られます。

 

法人利益との合計の場合、給料1700万円に対して、手取りは9,644,225円(964万円)と計算されます。法人税ですが、大体の計算は法定実効税率というので計算できます。約24%(年々下がっています)では、800万円×0.24=192万円なので、残るお金は608万円になります。そのため、手元に残るお金は1572万円と計算されます

 

 

法人税と個人の税金の違いだけで、手元に残るお金は約170万円(月14万円)も増えます

 

 

このように、自分に入る収入を、個人所得と法人所得に振り分けると、節税になります。そして、会社化するメリットはこれだけではありません。次の章では、奥さんに給与を支払えるケース(勤務医と専業主婦家庭の場合)についてお話します。その次の章では、法人で経費利用ができるようになるメリットについてお伝えします。どんどん計算していきましょう。

 

 

妻が専業主婦の場合、妻に給料を支払うと無税

奥さんが専業主婦の場合、家計に入る手取り額がさらに増えます。会社に利益が入った場合、それを家族に支払うかどうかを選択することができ、かつ給与所得控除という制度を利用できるからです。

 

会社は、自分と奥さんと子供が役員とすることが多いと思いますが、奥さんに役員として給料を渡すことができます。この給料には、給与所得控除が利用できます

 

 

パートをする主婦の方で、「不要の範囲内で」という言葉を聞いたことはないでしょうか?給与所得控除という制度は、103万円までは(制度によりますが)、扶養の範囲内で、かつ給料を無税で受け取ることができる控除です。

 

 

この給与所得控除は、自分の会社から妻に給料を払う場合にも利用できます。この給与所得控除を利用すると、パートをしても扶養の範囲に収めるよう調整できるのと同じで、100万ちょっとまでは、無税で給料として支払い、奥さんが受け取ることができます

 

 

※月8万円を認めるかどうかについて、実際には、「奥様がどれくらい売り上げに貢献したか」なども考慮は必要ですが、月5万円くらいなら妥当だろうという判決もあります。そのため、うちは月5万円としています。
経理を手伝ってもらう、運営会議をするなど、売り上げに貢献する提案などがあれば、もっと出しても(それこそ月8万円でも)妥当でしょう。

 

 

そして、法人から専業主婦の奥さんに支払う場合、利益から経費として引いて、税金が安くなります。

 

もしギリギリまで攻めて、年100万円奥さんに支払う場合、その100万円は法人の経費になります。

 

つまり、法人の利益が年800万円から、年700万円になり税金が安くなる一方で、個人の貯金は100万円増えます。先ほどの、法人の法定実効税率を24%とすると

 

100×0.24=24万円 、24万円分手取りが増えます。

 

法人税と個人の税金の違いに加え、奥さんに給料を支払うようにすると、トータルで手元に残るお金は約194万円(月16万円)増えます。

 

 

奥様が専業主婦の場合、ただの勤務医のまま富裕層になるのは相当厳しいです。そのため、法人化(マイクロカンパニー)で会社を作ることを強く勧めます。

 

 

では、次は小規模企業共済という制度についてお話します。これもでかいです。

 

 

 

マイクロ法人のメリット-小規模企業共済に入れる

 

勤務医が法人化(会社設立)するメリット・デメリット

 

確定申告書B(上記)を見たことはあるでしょうか?ここに、小規模企業共済、という制度が書いてありますが、この制度がヤバイです。(つまり効果が高いということ)

 

これはもともと、中小企業の経営者の退職金を用意するための国の制度です。

 

これは、年84万円まで、貯金した分を全額経費にできる制度です。最近で言う、iDECO(イデコ)のようなものです。iDECOは月数万までを投資でき、投資した分は全額減税できるという制度ですが、小規模企業共済はもっとすごいです。

 

小規模企業共済の場合、途中解約が可能なため(目減りはあるものの)、どうしても必要な際には解約したり、積立額分はいつでも借りることも可能です。

 

小規模企業共済は、月に7万円(年84万円)を貯金でき、いつでも解約でき、その貯金額は全額「個人の所得」から引かれ、減税になります

 

勤務医が法人化(会社設立)するメリット・デメリット
参考:小規模企業共済はどれくらい節税になりますか?より

 

つまり、医者としての給料の課税所得が1700万円の人の場合、84万円貯金すると、36万7千円は節税でき、確定申告で還付金として受け取れます。つまり、実質負担額で48万円貯金すると84万円分貯まるという制度です。

 

 

小規模企業共済を利用すると、手取りで36万7千円得している(税率が高いともっと得)ようなものなので、トータルで手元に残るお金は年約230万円(月19万円)増えます。

   

パソコンや医師賠償責任保険や携帯代を経費で使うことができる

会社の事業と関連することであれば、経費で落とすことができます。

 

定款で、医療系コンサルタントや、医学に関するセミナーや書籍執筆を上げておけば、事業にかかわる費用として、医学書やパソコンや携帯電話や医師賠償責任保険(または日本医師会への入会としてもよい)が経費になります。

 

医師会入会すると、入会費は高いですが自動的に医師賠償責任保険に加入することになります。参考:日本医師会の医師賠償責任保険について

 

 

これらの費用は、会社を持っていなくても必要なものであり、会社を持っていない場合では、もらった給料から支払わなければなりません。

 

しかし、会社を持っていれば、経費として利用できるため、節税になります。

 

 

例えば、企業主催の勉強会や講演会、本を執筆して年で50万円もらえるとします。この場合に、個人名義でもらうと、所得税プラス住民税で半分なくなってしまいます。つまり手取り25万円になります。しかし、そこから携帯代金を月に2万円前後で年25万円、パソコンを3年に1回15万円として年5万円、医学書や論文代を年15万円分、医師賠償責任保険に年5万円とすると、年50万円かかります。

 

差し引きすると、個人名義で50万円もらって出費が50万円かかる場合、手取り25万円に対して出費が50万円なので、マイナス25万円になります。

 

 

しかし、会社名義でもらうと、会社ですべて落とすことができるため、プラスマイナス0円になります。講演や書籍にかかる税金も0円になります。

 

 

(もちろん雑所得扱いにして、一部を経費にすることも可能ですが、携帯代金や医師賠償責任保険などは会社の方が経費で落としやすいです)

 

 

そのほかに、車の購入代金や車両保険料や車検代、ホテル代や一部の食事代も、やり方によっては経費にできるので、(゚д゚)ウマーです。

 

この動画は面白いので、節税や法人化で利用できるメリットを知るのに役立ちます

 

 

 

普段の医者生活で必要なものようなものを経費計上することで、上記のような場合でも、トータルで手元に残るお金は年約255万円(月21万円)増えます。経費の利用度合いによっては、例えば乗る車のグレードが高いケースや、社宅利用をするケースではトータルでさらに月5-10万円ほど手取りが増えます。

 

 

 

将来開業する際に、資産の保全になる(財産税や連帯保証など)

将来の選択肢として、開業の可能性を考えると、貯金を個人と会社で分けるだけでも大きな意義があります。

 

今は必要性を感じていなくても、将来歯科医のように開業以外選択肢がないケースや、弁護士のように給料が下がって開業の一手を打つしかない状況になるリスクは0ではありません。

 

今は良いですが、将来地区によっては病院がつぶれて、勤務先がなくなる地区が出てくる可能性があります。そうした際に、開業をする最大のデメリットが、連帯保証です。

 

 

銀行は、個人との連帯保証を付けて開業資金を融資します。つまり、開業して失敗してつぶれてしまったとき、莫大な借金が残ります。購入した自宅も差し押さえられ、貯金や株式も差し押さえられ、0になってしまいます。

 

 

医師免許の場合は、自己破産しても免許は利用できます。つまり再就職が可能です。もちろん、上に挙げた歯科や弁護士のような状況では給料が少ない可能性は残るものの、再出発は可能です。

 

この時に、法人を持っていると、法人で貯めたお金や株は、差し押さえられません。法人は貴方の個人資産とは分けられますので、資産の保全になります。

 

0から出発するのと、会社があり1000-2000万円の資金の余裕がある状態から出発するのは、大きな差があります。

 

 

 

法人対法人の取引の方がやりやすいので、共同ビジネスが増える

会社が個人を雇う形で給料を支払うと社会保険などの手続きが面倒です。しかし、法人を作って、法人間の取引という形にすると、謝礼金の支払いなどは簡便になります。

 

つまり、共同事業や、ビジネスの手伝いで謝礼をもらう時には、法人を持っていると、仕事を振ってもらいやすくなります。

 

実際に、共同の事業を行う、もしくは事業拡大期に声をかけていただく機会は、会社を作ってから増えたので、これも大きなメリットだと思います。

 

 

 

まとめ

勤務医の場合、病院からもらっている給料の税率が、非常に高い状態です。そのため世帯間で収入を分け合ったり、小規模企業共済で節税しながら貯金したりするメリットが大きいため、世間一般で言われている会社作成の損益分岐点よりも前の段階から、メリット享受しやすいです。

 

もし作ることができそうなら、法人(マイクロカンパニー)を作成することをお勧めします。